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第二週目 (めまぐるしい六週間)
2005年4月17日の週
セキスイハイム最初のプラン
西山さんが一回目のプランを持ってきた。
プランの内容や、見積価格などに関して家族全員が興味津々だった。
まず図面の説明を受けた。三階建て(デシオ)だった。間取りはまずまず。
南の家との距離もかなり取ってあり、明るそうな家だ。
井戸は埋めてしまうことになる。
次に見積書。金額を見て、三人ともとても落胆した。我々の予想をはるかに上回る金額だった。
「こんなに高いの? これじゃ無理だよ」と私
「どなたも初めは絶対に高いと言われます。私も一番嫌な時です」と西山さん。
しかも外壁はタイルじゃなくてサイディングだった。
「この価格でタイルじゃないの?」と不満を言うと
「どうしてもデシオ(三階建て)だと、これくらいの価格になってしまいます」とのこと
「同じくらいの延べ床で二階建てだと、もっと安くなるのかな?」と聞くと
「それならタイル張りでも大丈夫です」と西山さん。
すこし考えたが、この価格ではハイムで三階建てを建てるのは無理だと諦めるしかない。
「二階建てでも、この立地なら工夫次第で明かりは取り込めます。
二階建てでプランを作ってみましょうか?」と西山さん。
「お願いします」と私。
三階建ての条件でハイムと出会ったのに、しょっぱなで三階建ての話が消えてしまった。
何だか変な気分。「それならハイムでなくても良かったのに…」と心の中で思う。
でも実際にプランを見て、ぼんやりしてした家のイメージが明確になった。
借金はいくらくらいする必要があるのかとか、どれくらいの広さの家が手に入るかなどの
判断材料が手に入ったのは嬉しい。
こうなると次のプランを見てみたくなる。ああ、でもこれでは西山さんの思うつぼかもしれないな。
西山さんが帰った後で、家族の雰囲気は重かった。なによりも高い金額に意気消沈していた。
〇ンチュリーホームや地元の建売業者の物件とは、価格がまるで違う。
測量・地盤調査
ハイムが手配した測量会社の方が二人で来たとのこと。平日なので私は会えなかった。
地盤調査は、スウェーデン式サウンディング試験という方式。地盤強度を調べるのに、最も一般的らしい。
後で地面を見たら、家のコンクリートに穴が開いていた。敷地の数箇所を調査したようだ。
この辺り一帯は昔は水田だったので、地盤は弱いと思う。
地盤の改良には、結構金が掛かるかもしれない。
トヨタホームに住む知り合いを訪問
Hさん夫妻を土曜日に訪問した。その一帯は、見渡す限り全てトヨタホームの家ばかり。
紡績工場の広大な跡地をトヨタホームが買い取り、条件付で売り出した場所だ。
これだけ多数のトヨタホームを見せられると、愛知県で戸数一番なのは簡単に納得できる。
住民もトヨタ系の仕事をしている方が多いとのこと。
タイル張りの家は少ない。全面タイルは一件もない。太陽光発電もあまりない。ハイムが得意なこの分野は
トヨタは苦手なようだ。
Hさんに家を見せてもらう。鉄骨構造なので丈夫そうだ。
また、防犯の為のセキュリティが充実している。車と家の鍵を一つにして、キーレスエントリーにすることも出来るらしい。
この辺りがトヨタの得意技らしい。
Hさんはトヨタホーム名古屋の営業の佐藤さん(仮名)が担当したとのこと。建築中から親切で、今でも連絡があったり、
年賀状も毎年来るという。それが一般的なのかどうかは分からないけど、Hさんが佐藤さんを信頼していることは確かなようだ。
「佐藤さんを紹介して下さい。ハイムのスピードが速いので、早めに…」とお願いした。
Hさんはトヨタホームの家に対する不満は無いとのこと。
帰り道は、車から多数のトヨタホームを見て回った。
途中で携帯電話が鳴った。
「お世話になります。トヨタホームの佐藤と申します。Hさんの紹介で電話させていただきました」と、丁寧な口調。
「よろしくお願いします。一度話を聞かせてほしいのですが」
「明日の夕方でしたら大丈夫ですが」
「お願いします…」
ハウスメーカーの営業の足は速いと感心。ハイムの西山さんもトヨタさんも。
セキスイハイムの二階建てプラン
西山さんが二階建てのプランを持ってきた。
パルフェと呼ばれているタイプ。屋根がフラットで太陽光発電がたくさん乗る。
外壁はタイル。オール電化。
デシオ(三階建て)と比べると、敷地内の建物の占める比率が大きくなった。延床面積が同じなら
二階建ての方が建坪が大きくなるのは当たり前。でも庭は狭くなり、南の家との距離も近くなった。
ということは一階部分の採光に難ありということになる。それで、リビングダイニングは二階というプランになった。
一階の採光を少しでも確保する為に、建物は極力土地の北側に寄せた。
そこには昔からの井戸があるが、残念ながら埋めるしかない。
価格は、一回目の見積と比べて確かに安くなっている。
ただ、前の見積がとても高かったので、それとの比較で安く感じているだけとも言える。
以前の私が見れば、このパルフェだって「全然無理」という価格だったはずだ。
それが、何となく「買えるかもしれないなぁ…」などと血迷った考えが頭をよぎる。
あのデシオの価格を見せて驚かせたのは、西山さんの計算された戦術だったのかもしれない…。
西山さんが敷いた線路の上を走らされているような気分。
ここはトヨタに頑張ってもらうしかないな。
「実は明日、トヨタホームの方に来てもらって説明を聞きます」と西山さんに言った。
西山さんは、驚いたような困ったような戸惑いの笑みを浮かべた。
「トヨタさんは安いと思います」
「へぇ〜、安いんだ」
「価格だけで判断されたら、ハイムに勝ち目はありません」
「価格だけっ…て、何が違うの?」
「品質です。またトータルコストが違います。太陽光発電とタイル外壁で今後数十年に支払うコストが変わって
きます。購入時点では安いトヨタホームも、長い目で比較するとハイムの方がお得なのです」とのこと。
「ぶつかることは多い?」
「はい、土地柄トヨタさんとは競合します、工法が同じでもありますので。嫌な相手ですが仕方ありません」
「で、勝つの? 負けるの?」
「えぇ…、負けたことはありません…」と西山さん
本当に全戦全勝なのかは私には分からない。多分そうではないだろうと思う。
でも西山さんの言い方は、同じ営業の仕事をする者として好きだ。
「西山さんは本当に良くやってくれてますよ。ありがとう」と礼を言う。これは皮肉でもお世辞でもない正直な感想。
また、この気持ちは入居後も変わっていない。
でも家は営業マンの良し悪しで決めるものではないというのが私の考えだ。
「頑張りますので、よろしくお願いします」と西山さん。トヨタの動向を気にしながら帰っていった。
明日は、トヨタホームだ。ワクワク。
あれっ? 俺は家を買うつもりでいるのかな。何だか変だぞ。
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